「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました

「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました

2019-03-07

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経済産業省のニュースリリースで、「「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」という記事がありました(http://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190301004/20190301004.html)。

特許法の一部改正では、(1)特許権侵害の可能性が有る場合、中立な技術専門家が現地調査を行う制度(査証)の創設、(2)損害賠償額算定方法の見直しとのことです。

(1)査証では、中立な 技術専門家が、被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出するというものです。

侵害立証が難しい製造方法や方法の発明について、権利者側にとって有利になると思います。

(2) 損害賠償額算定方法では、(あ)侵害者が販売した数量のうち、特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして、損害賠償を請求可能とし、(い) ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨を明記するとのこと。

こちらも権利者側にとって 有利になると思います。

意匠法の一部改正では、(1)保護対象の拡大、(2)関連意匠制度の見直し、(3)意匠権の存続期間の変更、(4)意匠登録出願手続の簡素化、(5)間接侵害規定の拡充とのことです。

(1)保護対象の拡大では、物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインを、新たに意匠法の保護対象とするとのこと。

こちらは、説明会でも良く耳にしておりました。企業のデザイン開発に大きく寄与すると思います。

(2)関連意匠制度の見直しでは、本意匠に類似する関連意匠の出願可能期間を、 本意匠の登録の公表日まで(8か月程度)から、本意匠の出願日から10年以内までに延長し、関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認めるとのこと。

これにより、意匠権者にとって、意匠権の範囲の拡大が容易になり、意匠戦略を立てやすくなると思います。

(3)意匠権の存続期間が、「登録日から20年」から「出願日から25年」に変更されます。

これは、ハーグの国際登録(意匠)の流れに対応していますね。

(4) 意匠登録出願手続の簡素化では、複数の意匠の一括出願を認め、物品の区分を廃止するとのこと。

これも、 ハーグの国際登録(意匠)の流れに対応していますね。 物品の区分は、拒絶理由の対象でしたから、廃止により、出願し易くなると思います。

(5)間接侵害規定の拡大では、「その物品等がその意匠の実施に用いられることを知っていること」等の主観的要素を規定することにより、取り締まりを回避する目的で侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を取り締まれるとのこと。

確かに、知的財産侵害物品の水際取締り(税関)で、部品を安価に輸入して、国内で製造するという方法もあると聞いたことがあります。そのようなことに対応するためですね。

出願人側、権利者側の改正と思います。これにより、もっと知財を活用して頂ける企業がたくさん出てくると良いですね。

最後まで見て頂きまして、ありがとうございました!

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