「弘道館」の商標無効求める 佐賀県、特許庁に審判請求へ

「弘道館」の商標無効求める 佐賀県、特許庁に審判請求へ

2019-12-04

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YAHOOJAPANニュースで、「「弘道館」の商標無効求める 佐賀県、特許庁に審判請求へ」(佐賀新聞Live)(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191122-03456880-saga-l41)という記事がありました。

記事では、「佐賀県は、大隈重信らが学んだ佐賀藩の藩校「弘道館」の名称を商標登録した女性から500万円の損害賠償請求訴訟を起こされ、それを受けて特許庁に商標登録の無効を求める方針を21日明らかにした。28日開会の定例県議会に関連議案を提出、可決され次第、審判を請求するとしている。」とのことです。

この記事で着目すべきことは、「弘道館」という名称が商標登録されており、且つ、その商標権者が佐賀藩の藩校と関係のある人では無く、女性という個人であるということです。
一般的に、商標は、自社商品識別力を有する必要がありますが、この「弘道館」は、昔から存在する名称であるのに、佐賀藩の藩校とあまり関係のない第三者の個人が商標として取得してしまったということです。
このようなケースは、実務的には、他人の名称であっても、商標権を取得することが出来るというケースがあるので、商標は、前もって取得すべきと思います。

記事では、「県まなび課や訴状によると、訴訟を起こした女性はさいたま市在住(当時)で、弘道館を設立した佐賀藩の鍋島家と関係があり、2013年10月に弘道館を商標登録した。女性は、佐賀県が17年度から実施している講座「弘道館2」や、18年3月から今年1月まで開かれた肥前さが幕末維新博覧会の施設「リアル弘道館」について、商標権を侵害しているとして、18年11月9日付で東京地裁に提訴。係争中となっている。」とのこと。

女性が、県まなび課に対して、「弘道館」の商標権侵害訴訟を起こしているという状況です。すごいことですね。金額は、他の侵害訴訟と比較して、上述のように500万円と低額ですが、このような個人の女性であっても、本家と思われる佐賀県の県まなび課に訴訟を起こせるということがあります。
これは、ひとえに、本家が商標登録出願をせず、個人の女性が商標登録出願をして、「弘道館」の商標権を取得したことに起因しています。
実務的には、本家と分家で、本家が商標登録出願をしておらず、後の分家が商標登録出願をして、商標権を取得し、分家が本家と争うというケースはあります。本家の危機感が無かった点が悪かったのですが、こういったケースに巻き込まれないためにも、商標取得の可能性があるかどうかは、商売をしている方は、気にしておく必要があると思います。

記事では、「県は今年8月末、登録された商標が3年以上使用されていない事実を争う「不使用に関する取り消し審判」を特許庁に請求、現在は審理を待っている段階だという。県まなび課は「弘道館は県、県民の非常に大切な財産。これまでも大切にしてきたし、今後も継承していきたいという思いを持っている」と主張する。
 女性の代理人の荒井俊行弁護士(東京都)は「係争中なのでコメントは差し控える」とした。」とのこと。

佐賀県の県まなび課としては、女性に対して、無効審判や不使用取消審判の他に、先使用権の抗弁など、法的には対抗できる手段はあると思います。
私的には、大隈重信らが学んだ佐賀藩の藩校「弘道館」は、周知や著名の範疇とおもいますので、おそらく、佐賀県の県まなび課の方が優勢と思いますが、裁判は最後まで分かりませんので、今後の動きに注意したいと思います。

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