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福島一

不完全な特許出願は無駄 「量」より「質」向上に時間を

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YAHOOJAPANニュースで、「不完全な特許出願は無駄 「量」より「質」向上に時間を」(SankeiBiz)(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191110-00000501-fsi-bus_all)という記事がありました。

なんでも、「特許は量か質かという問題がある。もちろん、両方がそろえば一番よいのであるが、中々そうはいかないから難しい。(溝田宗司)」
との切り口で、記事が始まっています。

小生も特許実務をして長いですが、特許実務家から出てくる共通の感想です。特許実務では、「量」と「質」が重要ですが、「量」と「質」は、様々な観点で出てくるので、この二つを満たすのは、本当に難しいです。

記事では、「特許出願の手続きは、会社で発明が生まれ、発明者がその発明の内容を弁理士に伝え、弁理士が出願書類を作成し、出願するのが一般的である。会社の規模や業種によっては、知財部が関わることになる。弁理士の作成した出願書類を精査し、(1)技術内容的に正しいものになっているか(2)他社による模倣ないし類似品を防ぐような十分強い権利が取れる内容となっているか-を確認するのに、時間と費用がかかってくる。」とのことです。

この方は大手知財部出身なので、弁理士の立場というより、知財部の立場が強いコメントになっています。知財部が、会社で生まれた発明を外部の弁理士に作成させた場合、(1)弁理士が技術的に内容を理解しているのか、(2)弁理士が強い権利に仕上げているのか、というのは、常に心配事項になると思います。
一方、弁理士の立場では、(1)知財部が技術的にきちんと情報提供してくれているのか、(2)知財部が無理の無い範囲での権利取得を希望しているのか、という点で、見ていく必要があります。

記事では、「「質」を求めるのは、時間と費用をかけて(1)と(2)を徹底をすることに他ならない。他方で、「量」だけというのは、安く、多数の出願をするということである。費用として拠出するのは弁理士の費用だけで、スピード感としても、会社が弁理士に発明の内容を伝えたら、後はお任せで会社ではチェックもしないというのが一番速い。したがって、社内に知財部があり、弁理士の作成した出願書類をチェックする機能がある会社は、当てはまらないことになる。」とのことです。

中小企業であれば、社長が弁理士に直接技術説明し、弁理士が出願書類を作成して、処理していきます。知財部が時間と費用をかけて出願内容を確認するということは先ずありません。
一方、知財部がある会社であれば、特許権利化の業務を弁理士に丸投げとはいかないため、知財部が出願内容をチェックする必要がありますが、その時間と費用は、会社持ちになりますね。

記事では、「当てはまるのは、とりわけスタートアップなど知財部が社内にない会社である。よって、特許は量か質かという問題に直面するのは、こういった知財部が社内にない会社である。もちろん、弁理士は、その道のプロであるから、適当な仕事をするということはまずないといってよい。しかし、いくらプロであっても、弁理士にも限界があり、完全お任せのノーチェックで、先述の(1)(2)をカバーできるかというと、難しい場合もあるだろう。また、チェックするのが、知財畑の人間ではない場合、(2)の観点からは、ノーチェックとほぼ変わらないということにもなる。また、特許は出願して終わりというわけではなく、その後、特許庁とのやりとりが発生する。そこでも、単に権利を取って終わりとするのではなく、従来の技術とは相違するが広い権利を取るには(つまり、上記(2)の観点)、時間と費用をかけてじっくり臨む必要がある。」とのこと。

スタートアップ企業も、中小企業も、大企業のように、知財部が無いため、ある程度、弁理士に頼る必要があると思います。スタートアップ企業や中小企業の社長さんは、「本当に」忙しい方が多いので、私的には、特許等の権利化は、弁理士に任せた方が良いと思います。

記事では、「私としては、不完全な出願をいくら増やしても、結局費用だけがかさみ、事業に資するとはいえないと考えている。したがって、どちらかといわれれば、特許は、質であり、量ではないと考えている。」とのこと。

特許実務では、確かに「質」と「量」を兼ね備えていれば、将来の模倣問題に対して十分に対応することが出来ます。ただ、スタートアップ企業や中小企業では、十分に時間や費用を掛けられないため、「質」を重視するという訳です。小生もどっちかというと「質」重視ですが、「質」の考え方は、人様々です。特許権が模倣品防止可能な内容になっていても、ビジネスとして軌道に乗るもので無ければ、特許権の価値は下がってしまいます。特許権は、あくまでもビジネスと共になければなりません。

記事では、「「質」を向上させるには、特許庁に出願する前のタイミング、特許庁とのやりとりでのタイミングで、上記(1)(2)の観点から、費用と時間をかけてじっくりとチェックをやるほかない。しかし、実現するためには、知財部のない会社ではやや難しい。適宜、他の弁理士や弁護士に委託するなどして、うまく「質」を向上させるのが望ましいと考える。」とのことです。

私も同意見です。スタートアップ企業や中小企業の社長さんは、「本当に」忙しい方が多いので、特許明細書の内容まで踏み込んで、精査する時間があるのであれば、ビジネスを軌道に乗せるために時間を使った方が有効です。
費用対効果を十分に得るためには、弁理士とのヒアリングが本当に重要になってきます。

記事では、「こういったセカンドオピニオン的なサービスを提供している事務所もあるようだが、それほど多くの事務所で提供されているわけではない。出願件数が減少傾向にあり、また、AI(人工知能)などによる付加サービスも出始めている中、特許事務所としてこういったサービスを提供することも価値のあることだと思う。」とのこと。

この方は、特許事務所に「質」を求めましょう、という意見なんだと思いますが、正に、その通りです。社長さんたちは、「本当に」多忙な方が多いので、知財は、弁理士に任せた方が良いと思います。気軽に弁理士に相談しましょう。

最後まで見て頂きまして、ありがとうございました!

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