化学分野

化学分野での特許取得のポイント

化学分野では、他の技術分野と比較して、下記のような点に注意が必要です。

  • 新規物質には、化学式を用いる
  • 実施例・比較例が必要である
  • 製造方法を考慮する必要がある

当事務所では、技術士(化学部門)の専門家が、
無機化学 有機化学 高分子化学 分析化学 物理化学 量子化学 工業化学 化学工学等、化学分野の知識に富んでおります。
そのため、専門的な知識を使って、お客様の発明を明確にし、他社で真似できない特許発明に仕上げていきます。

骨密度増加剤、スクリーニング方法
特開2014-159392

新規物質

化学合成した新規物質で特許を取得する場合には、通常、化学式・化学構造式を用います。
化学式・化学構造式で新規物質を特定することで、他社品の物質を分析すれば、侵害品か否かを判断することが出来ます。
新規物質の特定には、化合物の置換基(水酸基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、アミノ基等)から、新規物質の特徴を検討し、抽出して行きます。
新規物質は、通常、一種類の場合が多いですが、実施例と比較例との関係から、サポート要件や実施可能要件に違反しないように、明細書を作成する必要があります。
又、新規物質を特定する方法として、元素分析等の通常の化学的手法を明細書に記載しておく必要があります。

体重増加抑制剤フェルラ酸エステル
特開2013-184939

新規混合物

今まで存在する物質であっても、複数の物質を混合して組み合わせることで、新しい作用効果を奏する場合があります。このような新規混合物であっても特許を取得することが可能です。
新規混合物では、構成要素を物質を特定することで、他社品の物質を分析すれば、侵害品か否かを判断することが出来ます。
新規混合物の特定には、構成要素の物質の汎用性、混合の比率、新規混合物の物性から、新規混合物の特徴を検討し、抽出して行きます。
新規混合物でも、実施例、比較例を適切に記載し、サポート要件や実施可能要件に違反しないように、明細書を作成する必要があります。

揮発性消毒剤
特許5630679

数値限定発明

混合物の構成要素が公知であっても、各構成要素の混合比率や物性を限定することで、新しい作用効果を奏する場合があります。このような数値限定の発明であっても特許を取得することが可能です。
数値限定発明では、各構成要素の混合比率や物性を適切に特定することで、他社品の物質を分析すれば、侵害品か否かを判断することが出来ます。
数値限定発明の特定には、各構成要素の混合比率や物性から、数値限定発明の特徴を検討し、抽出して行きます。
数値限定発明では、特に、各構成要素の混合比率や物性を実験的に確認出来るか否かが重要であり、実施例、比較例を適切に記載し、サポート要件や実施可能要件に違反しないように、明細書を作成する必要があります。

常圧過熱蒸気放出装置、方法
特許5577493

用途発明

化学の分野では、既知の物質であっても、従来知られた特性(作用効果)とは異なる特性を有することが発見された場合があります。このような発明であっても、物質と用途を組み合わせることで特許を取得することが可能です。
用途発明では、使用する物質が既知であるため、用途を適切に組み合わせることで、特許性を出すことが出来ます。他社品でも、用途の表示を分析すれば、侵害品か否かを判断することが出来ます。
用途発明の特定には、既知の物質をどのように利用して用途の作用効果を発揮させているか、用途発明の特徴を検討し、抽出して行きます。
用途発明では、特に、用途の作用効果が明確に分かるような実施例、比較例を適切に記載し、サポート要件や実施可能要件に違反しないように、明細書を作成する必要があります。

ヘパラナーゼ阻害剤、スクリーニング方法
特開2014-198695

プロダクト・バイ・プロセス発明

プロダクト・バイ・プロセス発明とは、製造方法(プロセス)によって物(プロダクト)を特定する発明のことです。化学分野では、物質を構造により特定出来ない場合があり、そのような場合であっても、製造方法を特定することで、特許を取得することが可能です。
プロダクト・バイ・プロセス発明では、製造方法に着目して権利化するため、他社品の製造方法が容易に特定できる発明であれば、侵害品か否かを判断することが出来ます。
プロダクト・バイ・プロセス発明では、他社品の製造方法を確認出来るかどうかを考慮しながら、製造方法の特徴を検討し、抽出して行きます。
プロダクト・バイ・プロセス発明では、特に、製造方法に起因した作用効果が明確に分かるように実施例、比較例を適切に記載し、サポート要件や実施可能要件に違反しないように、明細書を作成する必要があります。

調光素子の製造方法
特許6058706

顕著な効果

物質の構成が容易想到であっても、引用発明と比較した有利な効果が、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものである場合には、その物質で特許を取得することが可能です。
顕著な効果には、引用発明の有する効果と比較して、(1)異質な効果か、(2)同質な効果であるが、際だって優れた効果(出願時の技術水準から当業者が予測することが出来ない効果) の2種類が存在します。
顕著な効果を利用して権利化する場合には、物質の構成及び作用効果を十分に検討し、抽出して行きます。

二次電池の通電方法、通電装置、二次電池
特許6066170